OCTAVE の V110 は、五極管プッシュプル出力段による 110W x 2 (4Ω 時 RMS)出力を誇る真空管式プリメインアンプです。OCTAVE の他モデルと同様、全ての R&D(研究と開発)および生産はく社内で行なっており、製品はユーザーエラーやパーツ類、更には壊滅的な出力管の不具合から徹底的に保護されています。
V110 は、新採用の出力管、KT120 を万全に使用するために新設計の技術を用いた新しい製品です。給電される主電源電圧の変動や AC ラインからの高周波数ノイズや歪みに関係なく、超低ノイズで緻密に調整されたDC 電源電圧回路が安定した操作性を確保します。V110 は前作の V70SE に増幅段や電源の改良を加えたものです。ドライバー回路には、アルミ電解コンデンサの代わりに超低リークのタンタル電解コンデンサが採用されています。
ドライバー管のヒーター電圧は、ヒーターシステムに起因するハム音やノイズを軽減するべく緻密に安定化されています。ヒーターと供給電圧はどちらも電源管理回路を経由して調整されています。ヒーターと供給電源電圧の安定化はドリフトフリーの操作を電圧変動±15%の領域で確実にします。V110 の全ての出力管は過電流や経年変化に起因する通常の真空管アンプの問題をクリアしています。
・バイアス調整
V110 は固定バイアスで、前面パネルからアクセスできる精密なバイアストリムポテンショメーターと LED 表示を活用することで、ユーザーが容易に出力管の状況をモニタリングして個別にバイアスの調整を行うことが可能です。必要なのは付属の 3mm のマイナスドライバーのみで、マイクロメーターを使う特別な知識やツールを必要としません。
・Black Box / Super Black Box コネクタ
V110 には Octave のオプション「Black Box」又は「Super Black Box」キャパシタンスモジュールのコネクタが装備されています。
Black Box 又は Super Black Box の使用は、電流供給を安定化させて負荷の変動に伴うインピーダンスの変動からの影響を低減し、電源供給キャパシタンスを顕著に増加させます。そのため、ダイナミックレンジ、セパレーション、奥行き、音場サイズそしてナチュラルさを向上させるのです。V110 は接続するスピーカーを殆ど選びませんが、Black Box / Super Black Box を使用することで鳴らしにくいスピーカーの場合でさえ最適化させることが可能です。
・入力段
V110 の入力段にはオプションで装着できるフォノ基板を含めて 5 系統のラインレベルの RCA シングルエンド入力、1 系統のバラ
ンス入力、そして 2 系統の RCA シングルエンド出力を備えています。1 系統は Rec 出力で、もう 1 系統は安定化したプリアンプ
出力です。この出力は接続された機器(通常はアクティブサブウーファー)の悪影響を減らすために集積回路でバッファリングされ
ています。入力5系統のうち「Front Channel」は、ボリュームレギュレータをバイパスするリレーとカップリングされていますので、
「Front Channel」入力が選択されている時には、V110 はステレオアンプとして機能します。
・電源管理
高電圧レールを含む V110 入力の入出力管のヒーター電圧は論理的に制御されており、出力管の伝導と入力段電圧は突入電流から内部パーツ(真空管、整流器、電解コンデンサ、スイッチ等)を保護する電力管理システムによって常時モニタリングされコントロールされています。このシステムによって真空管だけでなく、全ての電源に関連するコンポーネントの寿命を延ばします。
・エコモード
エコモードは、本体の電源が投入されていても音楽再生をしていない時に熱と不要な消費電力を軽減させるものです。無信号状態が約 10 分続くと V110 のエコモードが起動し、主要な回路の電源をオフにします。この「スリープ」モードでは、V110 のアイドル電流はたったの 20W になります。そのため、本体の電源は入っていながら本体から放射される熱はほとんどありません。音楽信号が再び検知されると、エコモード回路が本体の電源をオンにし、35 秒ほどの短いウォーミングアップ期間で再び音楽再生が可能となります。
エコモードは真空管の長寿命にも一役買っており、また、電源を投入したまま放置してもある一定の安全を確保できる安全強化という付加価値も提供します。
・Phono オプション
オプションとして、MM(47kΩ)又は MC(500Ω)カートリッジに対応した Phono 入力基板があります。この基板には、12dB/Oct のサブソニックフィルターが実装されています。
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